吉原 多恋人倶楽部『森田涼花』ブログ

吉原 多恋人倶楽部で働く『森田涼花(もりたすずか)』のブログです。

  1. 鉄道紀行文
  2. cm: 9
  3. [ edit ]

減りゆく蒸気機関車との出会い 真岡鉄道紀行文なのだよ。

DSCF9191.jpg


また、名残深い路線からSLが1台姿を消す。

一時期、廃止をしていた時代よりかはいくつか復活を果たしたが
蒸気機関車は、設備や技術がかかる上に、1台あたりに数千万〜1億円以上と膨大な維持費が負担になって来る。
この金額の多くは、車両の車検にあたる法定検査が圧倒的に締めており、
多くの鉄道会社はこの金額を支払いきれず静態保存になってしまったり、別の路線へ譲渡する場合が多い。

臨時列車を含めると1現役で日本を走るSLは10路線以上存在すると言われているが、
その中でも関東からさほど遠くない距離にある茨城県 真岡鉄道のC11系が乗車利用率の低下、
更には上記で述べたよう金額的負担が大きい法定検査の時期に差し掛かったということでついに車両を譲渡するようだ。

真岡鉄道はC11系の他にC12系という車両も保持しているため、完全なSL運行が取りやめになる事はないが
長い歴史を走り抜け、詳細な作りの車両でもあるから突然運休になることも考えられる。



先月、私は何気なくこの廃止のニュースを目にして、
どこか遠くへ引き渡される前に是非乗車したいと思った。
思いつきとは言え、旅の行き先を茨城に指定したのも実はこの理由。

前日に水戸で1泊をし、下館駅には発車1時間前に到着するという準備万端の体制で挑むのであった。






意気揚々と発車ホームへ向かうと、予想以上に乗車客でごった返した光景が現れる。
まさか1両減るだけでもこんなにも影響があるとは、、、と咄嗟に鉄ヲタの思考を巡らせていたが
どうやらこの日は年に2回行われる益子の陶器市に訪れる人でほとんどのようだった。

流石にいくらSLが物珍しいからと言って、減車発表後すぐに飛んで来る鉄道ファンは残念ながら少なかったようだ。





数時間、秋晴れと言いつつも少し肌寒い風に吹かれ、待つこと数十分。
ついにC11系がホームに到着する。


DSCF9197.jpg



元々小柄なC50系を元にデザインされた車両であることながら当然本車体も小さく、
尚且つ改良に改良を重ねられたものだから後に車両が軽すぎるという問題点を抱えることになる。


DSCF9200.jpg

DSCF9201.jpg




D51系ほど大柄で男臭くもなく、かと言ってC57系のように貴婦人等と女性に例えるまでもない中性的な佇まいをしている。
一部でC11系は”シーチョンチョン”とか間違った中国語みたいなヘンテコな呼ばれ方をされているが
小柄なのに妙に色男感が出ていることから擬人化したら絶対に美少年だろうなと予想する。




DSCF9203.jpg

DSCF9204.jpg



群がる人集りに思わず車掌さんもおそらく宣伝用かと思われる画像をパシャり。
時代ですなァ。






1時間前に並んでいたものだから当然乗車列も先頭。
さて、いざ乗車!と乗り入れるもなぜか車内はハロウィン仕様(撮影日は11月3日)。


DSCF9205.jpg

DSCF9206.jpg



期間限定内装という意味ではサービス的な延長と考えた方が正しいのかもしれないが
こういう少し抜けた感じもローカルぽくて思わず気持ちが緩んでしまう。





相席でも構わないから景色をじっくり見たいと思い、クロスシートへ遠慮なく座ると
すぐさま向かいには丸メガネを掛けた品のいい年配の女性が座った。
健康的な体系に革小物をさりげなく身につけたその女性は、どこか年代ものの鉄道と合わせていい雰囲気を醸し出しており
私は密かにジョンレノンのおばさんと勝手に命名をした。


お互いに緩やかに車両に揺られ、温かな日差しに包まれのんびりと窓を眺めているだけで特に会話はない。
始めは住宅街を走っていた列車も真岡に近づくにつれ、よくあるような田園風景が広がり、ただその景色に癒される。
ジョンレノンの叔母さんも少し微笑んだような優しい口元をしており、時には目を閉じてリラックスしているかのようだった。
私もつられてふわふわとした気分になる。



DSCF9211.jpg




初めて口を開いたのは、真岡駅に到着する直前の事。
切符確認の際、乗車客全員に”乗車記念切符”と題しての硬券がプレゼントされた。
片道切符がペラの細長い紙だったことから若干テンションを落としていた自分にとっては
何たるサプライズだろう!と思わずニヤッとだらしない顔をしてしまったのだ。


「なんかこういうのって良いですよね。」

私の表情に気づいたジョンレノンの叔母さんが淑女な一言を掛けてくれた。


ふと我に返った自分は、顔を隠すように俯きながら
「そうですね。」と照れ笑いをすることしかできなかった。







真岡鉄道の表題にもなっている真岡駅には、
SLキューロク館という施設が隣接されており、古いSLや客車が展示を無料で見る事ができる。
プラン的に途中下車する時間に余裕がない私は停車している15分間の間に出来るだけ見て回ろうと
猛ダッシュに近い早歩きで(ホームは走っちゃダメ)列車を飛び出した。

DSCF9214.jpg


DSCF9220.jpg


駅舎を見上げると見事なSL推しを象徴するかのようなガラス張りのSL型の建物。
待合室にはレールの模様が描かれていたり、駅入口はタイヤをモチーフにしている等細かな細工が沢山ある。







館内には、先ほど臭いとおちょくったD51系はディーゼルーのキハ20系という年代物の車両が静かに展示されていた。



DSCF9225.jpg


DSCF9222.jpg



残り5分を切ったところで急いで列車に戻る。
心の中ではとはいい、こんなに子どものように無邪気にはしゃいで早歩きしまくったのはいつぶりだろうか。

どこかスッキリとして気分で満足気になり、元いた席に額に汗を滲み出しながら真っ赤な顔で戻ると
「おかえりなさい。」とジョンレノンの叔母さんが微笑んでいた。


「見れましたか?」

「ええ、、、ぐるっと見て来ました。」

息を整えながら応えた。






また車両がゆっくりと走り出したが、それ以上の会話は特にしない。
お互い必要以上に話さないところが妙に心地が良く、まるで小説のような出会いに
“勢いとはいえ旅に来て良かった”と心底思った。


DSCF9233.jpg

DSCF9236.jpg



その後も鉄道はぐんぐんと距離を進んでいき、程なくして益子駅のホームに止まると
乗客のほとんどが一斉に降りていった。
人の流れが落ち着いてくると、ジョンレノンの叔母さんもまた然り。
同じように立ち上がっては

「なんだか、ありがとうございました。」

思いもよらず丁寧にお辞儀をされたので
「こちらこそありがとうございました。」と頭を下げた。


相変わらず優しく微笑みながら立ち去っていったジョンレノンの叔母さんの後ろ姿を
どことなく寂しさを覚えながらも見送り私は終点の茂木駅を目指す。





茂木駅では、折り返し列車で戻るためあまり時間がない。
転車台での車庫入れの瞬間が見学できるということで、私はゆったりと眺められる駅二階のスペース上がってその様子をじっくりと観察することにした。


DSCF9251.jpg

DSCF9253.jpg


今か今かと転車台前の人集りの中には初めて観たのだろうか。
父親に連れられて最前列で見る子どもが目を輝かせながら その様子に釘付けになっている。
さらにその後ろで立派なカメラを構えた父親がSLと子どもを交互に撮影している姿が少し可笑しくもあり微笑ましくなる。

そんな光景を見て、いつになってもSLは子ども達・我々鉄道好きの夢であって欲しいと思った。

変わりゆく時代であるので、冒頭で書いたような問題も多く残されているが
SLが残っていくということは、展示物をただ見て回る博物館などとは違い、
ある意味動く歴史を体感するということでもあると思うので、なるべく多くの世代にこの魅力を体感してもらいたい。


DSCF9258.jpg


子ども達に運転手が笑顔で手を振ると、車両はゆっくりと向きを変え倉庫に入っていく。
無事に入庫されるのを見届け、私は急いで駅舎内に隣接された蕎麦屋で食事を済まし、後に予定には入れていなかった益子へ向かう準備に取り掛かる。
そう、あのジョンレノンの叔母さんを追いかけて。。。


勿論、現地ではお会いする事は出来なかったが
いくつかの魅力溢れる陶器を見つけたので、その話はまた後日にでも。





  1. 鉄道紀行文
  2. cm: 2
  3. [ edit ]

山形鉄道 フラワー長井線の旅行記なのだよ。

IMG_0907.jpg



第3セクターの経営はどこも厳しい。

実際に旧国鉄転換型31社のうち、経常利益、最終利益ともに黒字なのは鹿島臨海鉄道、愛知環状鉄道、信楽高原鉄道、智頭急行、平成筑豊鉄道の5社のみと言われている。

地元民の利用は限られていることから、我々のような都心の鉄ヲタを呼び寄せるため
鉄道会社も季節による限定列車やアナウンス兼乗務員を同乗させたりと
存続のため様々なアイディアや企画を打ち出すようになっている。

今回旅をした山形鉄道ことフラワー長井線もその1つ。

私は温泉と酒ですっかり火照った体を引きずり、ついでにちゃっかり売店で白ワインの小瓶を買って赤湯駅から乗り入れた。
名前の通り鮮やかな花模様がプリントされた列車がホームへ到着する。

IMG_0896.jpg



最初に下車した駅は宮内駅。
この宮内駅では兎駅長の”もっちぃ”に会うことができる。
和歌山電鉄の”たま駅長”など猫の駅長はいくつか拝見したことがあるが
兎駅長というのは現在この山形鉄道だけではないだろうか。

そして、この存在こそが山形鉄道独自の目玉となっている訳だ。
元々路線上で白兎(しろさぎ)市を横断することから長井線には兎に関する神社や駅がいくか設営されている。

兎駅長就任の訳にも宮内駅から徒歩約15分の場所にある熊野大社という神社の存在が理由となっており
この神社、本殿の裏側にうさぎが三羽隠し彫りされており、三羽全てを見つけると願いがかなう語り継がれているようだ。


IMG_0905.jpg

ひっそりと佇む駅員室と隣接された飼育部屋には、同じくポツンと寂しく兎が一匹。
元気がなさそうにじっとしたままその場から動かない もっちぃ。

小屋の横には「東日本の震災後、もっちい臆病になってしまいました」という張り紙があったが
それだけではなく、連日の暑さで兎も動く気力が無いように思えた。
ちなみにこの日の気温は東北といえども35℃を超える猛暑であり
少し冷房が効いている部屋とはいえども、これには兎もひとたまりもないだろうと思いながら、私も静かにもっちぃを眺めた。

兎といえども真夏の勤務が過酷なのは人間と一緒のようだ。
「お疲れ様です。」
心の中で呟きながら、いったん宮内駅を後にした。





当初の目的では、そのまま終点の荒砥駅まで乗車するつもりであったが
もう少し兎にちなんだ地を巡りたく、私は徐に白兎駅(地名は”しろさぎ”だが駅は”しろうさぎ”と読む)で下車をした。
噂によると、珍しい狛犬ならぬ狛兎がある神社があるそう。


IMG_0910.jpg


駅名は可愛らしいものだが、見渡す限り周囲には田んぼしかない。
簡易的に作られた駅に2、3名で入るのがやっとなプレハブ小屋のような待合室があるのみであった。

当然下車した者は自分しかおらず、
1人異国に取り残された私は携帯の地図を頼りにすーっと伸びた地平線のような田んぼの間の道を
私は赤湯で買っておいた白ワイン飲みながら歩いた。
灼熱の太陽に照らされた過酷な道を笑顔で乗り切るには、酒にでも頼るしかない。

日に照らされキラキラと光る草。群衆のようにあちこちで飛び回るトンボを眺めながら
ワインをエンジンにしてぐんぐん目的地へひたすら歩いた。



25分ほど歩いた後に、田んぼの道は開け国道の大通りに出た。
そこから数メートル歩けば、、ひょっこりと狛兎が迎える葉山神社が姿を表す。

IMG_0911.jpg


驚くほど静けさに満ちた神社には、小さな狛兎の手前に見合わないほどの立派なご神木が。
このご神木の正体は、日本三十三枝垂桜のひとつである樹齢約150年のしだれ桜であり
「白兎のしだれ桜」として市指定天然記念物にもなっているとのこと。

こんな田んぼの外れに天然記念物があるとは。
いい物がたくさん詰まっているのに世間から取り残されたような姿がどこかもの寂しく思いながら
埃やチリで薄汚れた本殿で参拝をした。
一体1日でどれほどの人がこの場所で手を合わせるのだろうか。


私はふと腕時計に目をやると次の鉄道の時刻を思い出す。
あと20分しかない。
行きに30分ほど近くかかってしまった田んぼの道を今度は全速力で駆け抜ける必要があった。


最後にもう一度狛兎に目をやると、
ちょうど西日に照らされてどこか優しい表情をしているように見えた。
その姿がなんだか”よく来たな”と歓迎されているようで
静けさの中にも優しい空間がゆっくりと流れているような気持ちになる。


また今度、この場所を訪れよう。


心にそう誓いを立てながら、慌ただしくその場を立ち去った。











  1. 鉄道紀行文
  2. cm: 5
  3. [ edit ]

赤湯駅に上陸なのだよ。

20180907183555804.jpeg



「いま、1番どこの電車に乗りに行きたいですか。」

その度に迷うことしなく「秋田と山形」と答えた。
それは、久しく鉄道旅に出かけていない私に結構な割合で問われた質問であった。

勿論、他にも四国や中国地方と出かけたい場所はあるにせよ、
この2つの県に行けば旅の目的としている東北の第3セクターをほぼ全て乗車してことになるからだ。
今夏も18切符の販売と同時にスケジュールを決めては始発の新幹線に飛び乗りっていた。
眠い瞼を擦り降り立った地は赤湯。






赤湯は、駅名に”湯”と入っている通り赤湯温泉が近くにあることで有名である。
近くといっても大抵の場合は車で10分ほどの距離なので徒歩であるくことは難儀を強いられるのだが
赤湯温泉の場合は、20分ほどで現地に到着することができる。

駅を出ると朝早い時間帯はあまり客が来ないのかロータリに暇そうにタクシーが2台停まっていた。
数年前の筆者であればショートカットを嫌い、遠回りするのも旅の醍醐味と意気揚々と歩き出していたはずだが
今年の猛暑で鉄板のようになった地面を見て、とてもじゃないがそんな勇気は無いとすぐさまにタクシーに乗り込む。
人は歳を重ねるにつれ、面倒と思うことが増えるものなのかもしれない。



201809071836163a2.jpeg


最初の行き先は”烏帽子の湯”。(えぼしの湯と読む)
ここら一帯は、温泉施設とともに地元民が利用する共同浴場が四ヶ所ある。
そのどれもが朝早くから開店しており、入浴料はわずか100円。
その代わり洗髪類等は置いておらず、当然ながらタオルも全て持参することが決まりとなっている。

温泉の開店は11:00である場所が多いので時間を潰すにはうってつけの場所なのである。

ガラガラッと戸を開けて中に入ってみれば、変わった形の湯船がまず目に入る。
おそらく店名の烏帽子の形なのだろうか。
ぐにゅっと屈折したヘリに腰をかけ足だけを浸かる人が多々見られた。

烏帽子というと平安時代の被り物を連想するが
赤湯では毎年春になると「烏帽子山千本桜」と呼ばれるくらい有名な烏帽子山公園が近くにあることから
おそらくこの名前が付けられているのでは無いかと思われる。







居ても立ってもいられず、あらかじめコンビニで手に入れておいたボディーソープで
さっそく身体を洗い湯にゆっくりと足を入れて見た。


、、、熱い。。。あまりの熱さに思わず引っ込めてしまった。
試しに片足だけゆっくり入れ、ある程度温度に慣れた(麻痺した)足を引き上げてみるとゆでダコのように赤く変色をしていた。
はたしてこれは健康的と言えるのか疑問が一瞬過ったが、時間をかけ徐々にそこに身体を沈めていった。
せっかく来たのだからとなるべく交互に身体をヘリで冷ましながら粘ってみること15分。
たった数十分で悲鳴をあげた我が肉体は脱衣所に行くと人気がないのを確認し扇風機を独占したままそのまま動けずにいた。
サッパリ流したはずなのにダラダラと汗が噴き出す。夏の入浴はこれがたまらない。



次の温泉に向かう道なりに小さなワインを売る個人店が見えたので
ウィンドウからこっそり覗いてみると”試飲できます”との張り紙。
訪ねてみると中から出て来た中年の女性が淡々と説明を始めた。
どうやら自社栽培をしているワインたちだそうで、よく目にするベリーA以外ほとんどが白ワインであった。



20180907183625cba.jpeg



喉も乾いていたので贅沢に赤と白2つグラスを頼んで飲み比べをしてみる。
ベリーAといえば、甘い香りに渋みがまろやかな品種として有名であるが一口飲むとふくよかな葡萄の風味もともに舌がコーティングされたようにマットな食感が残った。
実は筆者はこのベリーAがあまり好きではないのだが せっかくの旅と少し気が大きくなったのか いくらか美味しく感じられる。


20180907183633c28.jpeg



一方白ワインの方は、`小姫`という名の可愛らしい名前の酒。
品種は甘い香りと果実味で有名のデラウェア。
一口含んでみると甘すぎず清涼感あふれる爽やかな味に思わず杯が進む。
いかにも女性が好きそうなワインといった感じであった。

空きっ腹に酒を注いだということもあって、飲み終わる頃には体が段々と火照ってきていることに気づく。

まさか大浴場で沈むなんてことはないだろうな、、、、少し不安を感じながらも
酒で死ねるならそれも本望か と陽気になった私は夏空の下 次の温泉施設へと歩き始めた。




  1. 鉄道紀行文
  2. cm: 10
  3. [ edit ]

増毛駅に行ってきたのだよ。


20161217015618078.jpg



最初・最後・限定。
そんなたった2文字の言葉にもかかわらず、私たちは心を動かされやすい。

それをメディアや市場の思惑と分かりつつも、まんまと釣られている人々を
筆者は冷めた目で見ているという実に偏屈な性格なわけだが
ある日、ネット上でこんな記事を見つけることになる。

留萌本線・留萌~増毛間が廃止。

いままで鉄道の廃止など、筆者が魅力に目覚める以前の出来事に過ぎなかったので
あまりピンとは来なかった。
しかし、もう二度とその区間を乗ることができないと考えるとすでに札幌行きのチケットを
握りしめていたのだった。

朝早く東京を出発し、お昼ごろには深川駅に到着するも
出発待ちのキハ54形には似つかわしくないほどの満席。
車両は、通常一両にもかからわらず、外部から押し寄せる
鉄ヲタ対策のため臨時で二両に増やされていた。

まったく、これだから鉄ヲタというものは....。

自分のことを棚に上げ、なんとか座れた席からその終わりが近づいている車窓を眺めた。


20161217015814db3.jpg




雪が降ったのか、あたりはまさに白銀の景色。
現れる駅は、どれも秘境駅であり誰一人として降りない。

あくまでこの賑わいはラストだからであって、通常はおそらく2.3名ほどしか乗車しない鉄道なのだ。
日頃からこんなに活気づいていれば廃止にならなくて済むのに、、、
有終の美を見届けようという身勝手な欲望に自分の胸が思わず痛んだ。

20161217020130789.jpg

20161217020304114.jpg



終点の増毛駅へ到着すると、木造で建設されたポツンとした駅舎に人がごった返していた。
中には、増毛駅やキハ54形の写真が額縁に入れて飾っており
さらには、簡易食堂とお土産屋が一緒になってようなものが併設されていた。

外は雨が降っていたということもあり、食堂で売られているザンギと呼ばれる北海道のから揚げを
食べながら、次の出発の時間まで それぞれの時間を過ごしてる様子。
秘境駅ではあるものの、あまりにも人が多いため周辺を散歩してみる。

増毛駅は、こんなに辺鄙な場所にあるのにもかかわらず
いろいろな映画のロケ地にも使用されている。
中でも高倉健が主演を務めた「駅 STATION」は、それなりに有名であるらしい。

20161217020713bfc.jpg

201612170206542ca.jpg


その舞台となった風待食堂(実際には観光案内所)が近くにあり
建物内には、映画での名場面と留萌駅~増毛駅区間のグッズ販売が行われている。

筆者もたまらず列に並び、クリアファイルと硬券を購入。

後日談だか、この何とも言えないセンスのファイルに書類を挟み
職場のカワイ子ちゃん(上司)に提出したところ無反応で返ってきたので
一般人から見てもそれなりに鉄ヲタ臭をぷんぷん漂わせるインパクトのあるデザインとなっている。




ちなみにこのクリアファイルは、書泉や鉄道グッズのネット販売でも手に入るそう。
そんなことを当初の筆者は知るはずもなく、現地でゲットした土産品に心を躍らせながら、再び折り返しのキハ54形に乗り込んだ。




宿は留萌駅の近くで予約をしたが、せっかくなので一つ手前の瀬越駅で下車し
歩いて留萌駅を目指すことにした。

201612170207445f8.jpg


目の前には海が広がり、冬の風に煽られ荒々しく波がたつその景色には
風と波の音しかないほどに静かなのに、どこか圧巻とした気迫さえ感じられる。

物置といってもいいほどの簡易的な駅にホームを作るお金が足りなく、砂利だけ敷き詰められた駅。

廃止されても取り壊されるというよりは、腐敗していく様子が今でも十分に感じられる
何とも哀愁漂う駅である。


201612170210465e0.jpg



これが北海道本来の秘境駅の姿であり、寂しさを感じつつも
「いつまでもここにいたい。」という気持ちにさえしてくれる。

最初で最後とわかっていながらも、どこか懐かしさとまた出会えるような予感を
そっと胸にしまい留萌駅へ歩き出した。

  1. 鉄道紀行文
  2. cm: 9
  3. [ edit ]

信楽高原鐵道の旅~タヌキパラダイスなのだよ。~


20160914232151468.jpg




第3セクターが大好きだ。

鉄道好きを公言しているが、JRや大手私鉄などには興味があまり持てない。
旅の計画も、乗り継ぎをしている途中で上手く第3セクターに乗れることを目的としてプランを立てる場合が多い。

セクターについて簡単に説明すると、国営・都営が運営するのが第1セクター。JR・大手中小私鉄が運営するのが第2セクター。
そして、その両方を混合させたものが第3セクター。通称3セクと呼ばれる。

近年、少子化・利用率の減少により赤字経営が続いていることで継続が危ぶまれつつある。
頑張ってもらいたいという気持ちとは裏腹に
やはり人が少なくまったりと開発の手が遠く及ぶことがない土地を走る3セクの旅は魅力的なのだ。

今回は、そんな3セクの中から滋賀県の「信楽高原鐵道」を乗り鉄してきた。
信楽高原鐵道は、貴生川~信楽区間の山々を25分ゆっくり時間をかけて走る。
途中、建設された駅はわずか6駅しかないが、距離も去ることながら車両もディーゼルエンジンなので一駅の間隔が長い。
筆者が貴生川駅から乗り込んだ時には乗客はわずか10人ほどであった。


20160914232046d0e.jpg


タヌキの絵がプリントされた可愛らしい二両編成の列車。

社内はボックス席になっており、利用者も少ないため両側から山に囲まれた絶景を楽しめる。



2016091423204166c.jpg


201609142320435da.jpg


信楽駅といえば信楽焼き!なんといってもタヌキでしょう!
、、、、、と言わんばかりに各駅にはタヌキの置物が。
日が優しく差し込み微睡のある風景と一緒に眺めていると、おもわずタヌキに化かされているような気持になる。。。

隣の席には、母と子が仲良く戯れており、
途中母乳が欲しいあまりに、チビくんが母親の胸をポロリさせてしまったのを見てしまう。

慌てて目をそらした筆者だったが多分、、、、いや絶対バレていたと思う。。。(プライベートでは、下は苦手)
この後、この親子がとんでもない奇跡をもたらしてくれるのでお楽しみに。



信楽駅に到着すると、ここぞといわんばかりにタヌキが!

20160914232040ac5.jpg


201609142321451b6.jpg


20160914232045510.jpg


左を見てもタヌキ。右を見てもタヌキ。なんなら、ひょっこりカエルまで紛れ込んでいる。


201609142321473a4.jpg




駅を出ると公衆電話が箇所にちょこっとあるのみであるが、それもタヌキ。とにかくタヌキの主張が激しい街となっている。

すでにこれだけだけでも賑やかな雰囲気を醸し出しているが今後の旅のプランが控えているため、信楽駅には40分ほどしか滞在することが出来ない。




駅前をひたすら歩くが、陶芸の店が連なるばかりで食べ物屋は、駅前の少しお高めの怪しい牛すき屋か蕎麦屋しか無かった。

仕方がなく蕎麦屋に入ると、店内はシンプルな古民家風で良い雰囲気。
キリッとパワフルな風貌の女将さんが出てきて 軽くお喋りをすることができた。

どこから来たの?と聞かれ、東京です。と答えると どうやら東京からテレビ局の取材がちょうど来ているらしいのだ。味も評判の蕎麦屋らしい。

テレビ局か来る前に食べ終わろうと、急いで注文したのが椎茸そば”
山だから山菜が美味しいだろうなぁ と期待はしていたが、出された蕎麦を見ると予想以上の厚さ。

201609142324200db.jpg



なんだこの、化け椎茸は!(タヌキだけに)と驚いていると「ここら辺では当たり前よ~」と得意気に女将さん。

厚さも勿論だが、味も濃厚で風味豊かである。蕎麦もキンキンに冷えていて歯切れがいい。

また、極めつけが、お稲荷さんとお通しの漬物。


201609142324258ca.jpg


皮が取れにくく女性でも食べやすいように作られたお稲荷さんは、ほんのり甘い。
しし唐辛子とキュウリの漬物は辛味はそんなになく、野菜本来の味を残しながらも食感がいい漬物となっている。もう最高すぎる。。。

お腹一杯になり店を出る頃には、テレビ局が入り口でたむろしており しれっと駅へと向かう。
予定の列車を待っていると、可愛らしいわんこがやって来たので声をかけてみた。

2016091423242814b.jpg

20160914232427966.jpg


飼い主のおばちゃんも良い人で写真を撮らして貰ったのだが、よーく近くで見てみると タヌキそっくり!

いやぁ、信楽だけに最後にこのオチ。素晴らし過ぎる信楽。

タヌキわんこのお友達も後から加わり、仲良くなり最後に鉄道が出発するまで
手を振るお見送りもしてもらい、なんて暖かい町なんだと心がホッコリ。

他の私鉄でも有り得るかもしれないが、人との距離が少し近くて、優しい気持ちになれる。それが3セクの旅なのである。




<<NEW ENTRY  | BLOG TOP |  OLD ENTRY>>

プロフィール

森田 涼花(もりた すずか)

Author:森田 涼花(もりた すずか)
26歳
H5 6/2 ふたご座 A型


吉原の多恋人俱楽部という店に在籍している森田涼花といいます。

大人の職業をさせていただいてますが、当ブログでは個人的な日常と趣味についてツラツラと綴っていくブログです。

若干長文気味ですがお付き合い下されば幸いです。

◾️多恋人倶楽部HP:
http://www.talent-club.com/

森田涼花が在籍しているお店のホームページです。

◾️instagram:
suzuka_noinsuta

ブログ以外の簡易的に日常の報告用に更新しています。

カレンダー

04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

店舗情報

店舗名
   吉原ソープランド 多恋人倶楽部

お問い合わせ番号
   03-3876-7077

アクセス
   東京都台東区千束4-31-2

営業時間
   8:30~24:00